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リュートという名前の楽器を知っていますか?
表紙の人物が抱える涙型を半分に割ったような楽器の名前です。

どうもユーラシア大陸の真ん中でできた楽器から派生した、同じような形の楽器が東の端と西の端まで到達しています。
東は、言わずもがな我が国・日本。
琵琶という名前の楽器。

東の果ては、ヨーロッパ。
それが、このリュートです。

正倉院の至宝である、華麗な装飾が施された螺鈿紫檀五弦琵琶を思い出したくらい、リュートと琵琶はびっくりするほど形がよく似てる。

日本人である作者はこのリュートを日本で趣味として習い事をしているそうで、、、

リュート自体、現代に演奏者がいる。
そして、日本でも習い事にできるということに衝撃を受けました、、、

リュートは古い絵画の中でよく見かけますし。
実物を、現代日本で楽器屋さんなどでも見かけたことがないからです。
だから今は演奏者がいなくなった、古い時代の楽器だと思い込んでいました。

琵琶もそうですね。
街の楽器屋さんで姿を見ることがありません。
和楽器専門店にしかないんじゃないかな。
、、、あれ?
日本でリュートをどこで入手できるんだろう??

似た形でも、もっと小柄なウクレレや、アコースティックギターなら楽器屋さんで見かけるんですけどねー

日本の古い楽器でも、三味線より琵琶の方が古風だと思うのは、あの低い音色のせいでしょうか。
演奏者は確実に、琵琶の方が少ないでしょうしねぇ、、、


♬祇園精舎の鐘の音 諸行無常の響きあり〜🎵
なんて平家物語の時代には、弾く人もきっと多かったのでしょうけれど。

そんな琵琶の親戚・リュート。
この本によると、16世紀頃までは普通に街のあちこちで演奏されている楽器だったようです。
面白いですね。
琵琶も同じ頃までは演奏者が多かったのではないでしょうか。
平家物語なんて中世のものですものね。
1番隆盛した時代はいつかしら??

でも、物語や絵巻をみるに、中世までは一般的な楽器だったようです。
そんなところも、東の端と西の端がリンクしてるような感じですね

作者はキリスト教史への興味とリュートがリンクして、どんどんあちこちの時代・国に話が跳んでいきます。
まさしく、跳躍。
拙い西洋史・キリスト教史の知識しか持たない私では、ついて行くのが大変です!

古くはビザンツ帝国の8世紀、コンスタンティノープル。
十字軍の12世紀イギリスを経て、時代下って秀吉がキリシタン禁教にしたころの16世紀日本の天正遣欧少年使節の話。

イギリスから日本まで入った上に、8世紀から16世紀。
それがランダムに、行ったり来たりしてるのです。
時代も地理的にも深さ広さがありすぎる。
いったい地球何周してますか、、、??
ついていけず、途中で匙を投げ出しかけました、、、_| ̄|○

それ相応な西洋史・キリスト教史の知識があれば、楽だったのかしら、、、?

その各話を綴って一冊の本にするための、糸の役割をしてるのが、リュート。
正解には、リュートの楽譜と楽曲。

リュートを切り口に、キリスト教史を読み込むと言う切り口は斬新です。

リュートが切り込んで見せてくれる、新たな歴史の見方は大変面白く、また、リュート自体の知識がついたり、興味も掻き立てられたり。
面白い本ですが、私には一読で全体像を把握できなかった難読本でした、、、